竜田揚げ君のこと

 今日の部活では、ゆるキャラのことが話題に上った。ついでなので、我がクラブのマスコットキャラクター、竜田揚げ君について書いてみようと思う。

 図は、初代部長・拾い絵君の手になる、一番最初に描かれた竜田揚げ君のイラストである。余談であるが、彼が鳥類をデフォルメして描くと、燕だろうと孔雀だろうとハシビロコウだろうと、皆(´▿`)←こういう顔になる。可愛いからいいのだけれど、見分けがつかずに難渋することがままある。

 竜田揚げ君の説明をしよう。まず、自転車に乗っているのは、我がクラブがバイシクルを名乗っているからである。このクラブ名についてもそのうち語ろう。

 この自転車の空色は、富山大学のスクールカラーであるブルーグレーに準じたものである。色について言うなら、竜田揚げ君は自転車も含めて、青朱黄白玄、五行説の五色を完備した縁起のいい鶏である。

 なお、この自転車にはブレーキもライトも付いていないし、ハンドルはきれないが、これは拾い絵君が面倒臭がって描かなかっただけである。深い意味はない。

 次に、竜田揚げ君本体について。何故鶏なのか。この国で鶏と言う鳥は、祭祀用の聖鳥であった。天岩戸の神話にも見られるように、その鳴声によって太陽を呼び魔を祓う鳥とされた。今も床しい神社の境内では、鶏が放し飼いにされている。中国にも似たような習俗があると聞く。また、欧州でも鶏を魔除けとする風習がある。風見鶏などがその代表例である。あれは、古い時代は固定されていて動かなかった。単に魔除けとして飾られていたのである。時代が下って風向計の機能を持たせられたのだが、まことに合理主義者の西洋人の為せる業である。

 このように、洋の東西を問わず厄を祓うとされた鶏であるから、これをクラブの象徴として掲げることで、後代の部員諸君の不運を避けようと考えたのである。

 さらに、鶏は古くから人の生活に密接に関わってきた鳥である。また、江戸時代には観賞用として尾、羽根、鳴き声などに手が加えられ改良を重ねられ、多くの種類が生まれた。このように、「人に密接にかかわる」「鑑賞に堪える」「多様な種類がある」などの特徴は、我がクラブの部員たるものが具えるべき特長である。クラブのシンボルとして、鶏ほど適した生物は見当たらなかった。

 

 叙上の理由により、我がクラブのシンボルは「自転車を乗りこなす鶏」と決まった。最後に名称「竜田揚げ君」であるが、これの由来は、不詳である。気が付いたら皆竜田揚げ君と呼んでいた。多分、から○げ君に似ているからであろう。個人的には「鶏肋君」を押していたのだけれど、定着しなかった。

 

 以上が、竜田揚げ君のおおよその縁起書きである。他にも、レベルアップでフライドチキンさん→チキン南蛮様に進化するとか、各部門のシンボルが色違いの竜田揚げ君であり、6羽でチキン戦隊バンバンジャーであるとか、年に一回クラブから生贄を捧げなければならないとか、鶏のくせに空を自由に飛び回るとか実は雌鶏だとか幾つか設定が考えられていたが、ここでは割愛しよう。ゆるキャラとして売り出す時に改めて考えておくれ。

十薬庵