家政学研究部門より

 近頃は寒暖が安定せず、如何ともしがたい。

 

 ところで、そろそろ梅が出回る時期である。折角なので梅酒の作り方でも書いておこうと思う。

 

 用意するものは、まず当然、梅である。1㎏ぐらいあれば良い。梅の風味を強く出したいのならば、後100gほど追加してもよい。未熟な青梅を使えばさっぱりとした酸味と梅の芳しさを具えた梅酒が、熟した黄梅を用いればまろやか且つ奥行きのある梅酒が出来上がる。品種によっても味わいは変わって来るので、好みに応じたものを買い求める。

 焼酎も2ℓほど必要である。香味の付いていない甲類焼酎を使うのが無難であり、一般的にはホワイトリカーを使用する。無味の洋酒を使っても面白い。慣れてきたら味のある酒を用いてもよい。ただ、梅の風味こそが梅酒を梅酒たらしめているので、これを損なわない様にしたいものである。

 次に甘味料である。氷砂糖を用意しよう。500gから1㎏。好みに応じて加減。ただの砂糖ではなく氷砂糖を使うのは何故かと言うと、説明が面倒なので各自で調べたまえ。諸般事情により氷砂糖の方が砂糖より便利なのだ。ちなみに、砂糖を溶いた酒で梅を漬けると、梅が妙に堅くなる。

 氷砂糖の量は少なめにしておいた方が良い。甘味が足りなければ後から氷砂糖を足せばよい。

 甘味料としては、蜂蜜を加えても面白い。

 後は容器を用意すれば準備は完了である。梅酒用の容器が売っているのでそれを買ってくればよい。大きさは3~4ℓ分もあれば十分であろう。

 

 作り方はさほど難しくない。まず、梅を洗う。青梅にはやや渋みがあるため、洗った後2時間くらい流水に晒すと良い。熟したものなら渋みは無いので、洗うだけで充分。

 次に、ヘタを取り除く。ヘタが残っていると梅酒に渋みが出るので、一つ一つ丁寧に取り除く。竹串か楊枝でヘタを掘り取るのだが、この時梅に傷をつけない様に気をつける。

 続いて、容器の準備をする。熱湯なりエタノールなりで消毒した後、水気をしっかりと拭い去る。水気が残っていると、これから迎える高温多湿の梅雨の時期に、容器内で地獄が展開される。

 最後に、その容器に材料を全て入れる。順番は梅→氷砂糖→酒。梅の上に氷砂糖を置かないと梅が浮き上がる。

 この容器を涼しくて日の当らないところに置いておく。透明なホワイトリカーが琥珀色の梅酒に変わっていく様が目に嬉しく、インテリアとしても楽しめる逸品である。3か月ほどで飲めるようになるから、今の時期に漬ければお盆を過ぎた頃には飲める。その日が来るのを楽しみに待つのである。本格的には3年間熟成させて完成だ。

 

 梅酒には疲労回復や食欲増進などの効能があり、食前酒に適している。夏の間は水または炭酸水等で割って飲んだり、又はロックで飲んだりすると良いだろう。口当たりが良く、夏バテの防止に役立つ。冬場はお湯で割って飲んだり、或いはストレートを舐めるように飲んだりするのがよい。体が温まり、冷え性や不眠症の諸氏も快適に眠れることだろう。

 

 この通り、梅酒は有用且つ作るのが簡単である。是非自作を試みられるがよろしかろう。

 

十薬庵