大道芸

先月の晦日。胃弱なる暗闇が郷に帰した頃、丁度上と堀と妖怪君達が湿っぽい富山の地を踏み、暴風を伴う低気圧が彼国側の海へ帰した頃、今宵の算段に雄々しき華の太郎が冷笑した。
ランプの下に西洋帽の影を認め、車輪を転がして息を切らす。影は揺ら揺らとしている。イーゼル、看板、アンプ。絡げた大荷物も籠の中で揺ら揺らとしている。
桜町を越えてビル前を過ぎた。途中、老夫婦が筺を転がしていたのを覚えれば、その次も男女が筺を転がしていたことを思い出した。道行く人は皆何処かへ用事を持って行くのか、何処かから此処へ用事を持ってきた様子だった。
時計と星に先の三人を加えて駅前で各々の各々を振り回した。結果は二十分程の演技を二回程して一万円を越えた。さすがである。

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コメント: 1
  • #1

    砂時計 (金曜日, 26 9月 2014)

    懐かしいですね。
    また、お札が見たいです。